本研究は、建物ポイントデータの住戸数と国勢調査の世帯数を用いて、町丁・字等別や基本単位区別の空き家率を把握する手法を提案した。全国の図形データが得られる町丁・字等別に空き家率を求めた。住戸数が世帯数よりも全国平均で約5%少ないことから空き家率が5%ほど小さく求められている可能性があること、推計に使用したデータの年次差や戸数が小さい地区での推計誤差が大きいことなどの課題はあるものの、全住戸数のおよそ96%をカバーする範囲については、利用可能な空き家率を求めることができる見込みが得られた。また、千葉県八千代市を対象として、街区の住居表示がある市街地について、基本単位区の境界データを用いて空き家率を推計した。戸建住宅団地では、街区ごとの空き家率の違いを表現し得ること、集合住宅団地では、建物ごとの空き家率が把握できる可能性があることを示した。本研究の成果は立地適正化計画の策定支援に役立つことが期待される。
- 論題
- 住戸数と世帯数に基づく空き家の詳細地域分布の把握手法
- 著者
- 石河 正寛, 松橋 啓介, 金森 有子, 有賀 敏典
- 掲載誌
- 都市計画論文集, 52(3), 689-695, 2017.