(1) 目的:
欧州を中心とする諸外国では気候変動に対する危機意識、関心がミレニアル世代やZ世代を中心に高まっており、ライフスタイルの変化や投票行動にも影響を与えている。一方で我が国においては、これら意識の広がりを欠き、特に、若年層において低い傾向がある。
このため、若年層の危機意識、関心を惹起するための情報発信手法について実証調査を行った。
(2) 方法:
大手携帯電話会社のプロモーションサイトを用い、10~20代を対象に情報介入を行った。具体的には、同サイトを用いたアンケートにより、環境意識が低い者を抽出、3グループ(介入群A/B、対照群)にランダム割付した。
その上で、事前に行ったグループインタビュー結果に基づくクリエイティブA/Bをそれぞれ介入群A/Bに提示し、意識の変化とその継続性、行動の変化を対照群との比較により調査した。
(3) 結果:
気候変動による身の回りへの影響や日常の行動との関連性を分かりやすく伝えた介入群Aでは関心や対処有効性認知(行動することで環境問題が解決できるという有効感)が統計的有意に高まった(有意水準5%)。
また、詳細情報サイトへのコンバージョン率についても介入群は対照群に比べて有意に高い結果であった(同)。
一方で、介入2週間後に行った事後調査では、関心及び対処有効性認知に係る有意差はなく、環境配慮行動の実施率についても有意な差は見られず、意識の定着と行動変容には継続的な介入が必要であることが示唆された。
本実証は環境省委託事業「令和2年度脱炭素ライフスタイル推進事業の高度化検討等委託業務」の一環として実施した成果である。
- 論題
- 若年層の環境意識向上を促す情報提供手法の実証調査
- 著者
- 福田 守宏, 平山 翔, 小林 翼
- 掲載誌
- BECC JAPAN2021, 2021年8月