本稿では、補助金などの助成制度を活用した既存住宅の省エネルギー改修の効果を明確にする事を目的とし、のべ361件の省エネルギー改修に関する助成制度の調査を行った。調査結果より明らかになった助成対象項目の内訳や補助金額、補助率等の傾向をふまえて、省エネルギー改修による年間一次エネルギー消費量の削減効果の推計を平成25年省エネルギー基準の計算手法に基づいて行った。
その結果、居住者が助成制度を利用する際に優先すべき改修項目、あるいは国や地方公共団体が助成事業を行う際に優先して予算を費やすべき改修項目の一例を示した。また補助金の効果の高かった改修項目の組み合わせによる改修メニューの評価を行う事で、省エネルギー性能と室内温熱環境の向上の両面で効果が高いと認められる改修メニューのモデルケースを示した。
- 論題
- 助成制度を利用した既存住宅の省エネルギー改修による一次エネルギー削減効果に関する評価
- 著者
- 河田 浩太朗,田島 昌樹
- 掲載誌
- 日本建築学会技術報告集 第23巻 第54号, 日本建築学会, pp.579-584, 2017年6月