家庭CO2統計の調査票情報等を利用した回帰モデル推計により,市区町村別燃料種別の世帯当たり家庭エネルギー消費量の推定を試みた。世帯当たりの電気,ガス(都市ガスとLPガスの合計),灯油のエネルギー消費量を目的変数とし,世帯規模や建て方などの世帯レベル変数および人口密度や暖房度日などの都市レベル変数を説明変数とする回帰モデルを10地方区分別に作成した。ガスと灯油のモデルはtwo-part modelの考え方を導入し,燃料の使用有無と使用量の大きさを表現するモデルをそれぞれ作成して組み合わせた。作成した回帰モデルを用いて予測した燃料種別の世帯当たりのエネルギー消費量の推計値は,公表されている家庭CO2統計の値と比べて90%程度の整合を有する結果となった。予測結果は,元とした家庭CO2統計の値と比較して,エネルギー消費有無は過大に,エネルギー消費量は過少となり,約90%の整合性を有する結果となった。今後,こうした点の改良に加えて,地域で進む脱炭素関連の政策形成に資する参考情報となる統計等の整備についてさらに検討を重ねていきたい。
- 論題
- 家庭の燃料種別エネルギー消費量に関する回帰モデルを用いた市区町村別推計の試み
- 著者
- 石河 正寛, 松橋 啓介, 金森 有子
- 掲載誌
- 環境科学会誌, 37(2), 33-42, 2024.