地域特性を反映した乗用車のCO2排出量の推計は、電化や交通のモーダルシフト、都市のコンパクト化などの影響を予測するのに役立つ。 CO2排出量の違いは自動車保有台数の地域差に基づいて推定されていることが多く、走行距離の地域差は道路交通センサスの出発地と目的地調査の数から推定されている。本研究によって、車検証データの走行距離データを活用することで車両ごとの走行距離の違いを地域ごとに詳細に反映できた。 人口密度が高いほど、車両 1 台あたりの走行距離は小さくなる。これをもとに、全国の市区町村ごとに乗用車からのCO2排出量を算出し、グリッド人口密度ごとにCO2排出量と人口シェアを推計した。日本の人口の約40%を占める3000~10,000人/km2の地域では、1人当たりの排出量は全国平均に近かった。ただし、1000 ~ 3000 人/km2 (人口の約 20%) の地域では、1 人あたりの排出量は約 30% 高くなる。 一方、100 ~ 1000 人/km2 (人口の約 1.5%) の場合は、約 70% 高くなる。 10,000 人/km2 (人口の約 25%) では、約 70% 低くなる。
- 論題
- Estimation of passenger car CO2 emissions by population density class based on Japanese vehicle inspection certificate data
- 著者
- Keisuke Matsuhashi, Toshinori Ariga and Masahiro Ishikawa
- 掲載誌
- IATSS Research, 47, 179-184, 2023.