家庭部門のCO2排出実態統計調査を用いた既存の市町村別家庭部門CO2排出量推計モデルの問題点を改良するため,同調査の全国試験調査結果の個票データに対する欠測処理と,モデルの回帰パラメータ推定に非線形回帰を適用した.また,宇都宮市を対象として改良モデルの活用方法を例示した.モデル改良の結果,既存モデルより適合度があがり,既存モデルでは説明しづらかった回帰係数の符号の改善や信頼区間の幅が狭められたモデルを構築できた.また,全国平均の世帯あたり排出量も,推計値と公表値の乖離が7%から4%に縮められた.改良モデルを用いた宇都宮市の感度分析的な検討を通じて,例えば平均世帯規模が2.36人/世帯から2人/世帯に縮小すると一人あたり排出量は9%増となること,戸建世帯割合が60%から80%に増加すると3%増となること等を例示した.
- 論題
- 市町村別家庭部門CO2排出量推計モデルの改良: 欠測データ処理と非線形回帰の適用
- 著者
- 石河 正寛, 松橋 啓介, 金森 有子, 有賀 敏典
- 掲載誌
- 土木学会論文集G(環境), 75(5), I_89-I_98, 2019.