(1)目的
北海道は家庭部門からの排出のうち、灯油暖房が占める割合が高いことが特徴であることから、暖房の熱源転換に向けた行動変容が課題となっている。本研究では寒冷地仕様エアコンの購入と暖房利用を促すキャンペーンを通じてナッジを使用した情報発信を行い、その効果を検証することを目的とした。
(2)方法
北海道にある電力会社のWeb会員向けに寒冷地エアコンの購入キャンペーンへサイトの案内文として、ナッジを使用しない通常のメッセージとナッジを使用したメッセージの2種類を作成し、2022年10月から12月にかけて計6回、会員向けのメールマガジンを通じて配信を行い、配信ごとのアクセス率を計測した。加えて、Webアンケートモニターに対して実証に使用したメッセージを提示し、高効率エアコンの購入意向やキャンペーンへの興味といった意識変化について調査した。
(3)結果
約20万人のWeb会員に対してメッセージを配信した結果、ナッジ無しメッセージの配信後に比べてナッジ有りメッセージを配信後の方がキャンペーンサイトへのアクセス率が1.2倍高く、統計的に有意であることが確認された。加えて、メッセージの内容別でみると、メッセージ本文の中で機会損失や高効率エアコンの金銭的なメリットについて説明した内容があることが購入意向に対して有効であった。
本研究は北海道環境生活部委託事業「令和4年度脱炭素社会に向けた行動変容促進事業」の一環として、北海道電力(株)の協力を得て(株)住環境計画研究所が実施した成果である。
- 論題
- 高効率エアコン導入を促すメッセージの検証
- 著者
- 小林 翼、平山 翔、土屋 友和
- 掲載誌
- BECC JAPAN 2023