目的:
我が国では2009年11月に開始した余剰電力買取制度(2012年以降は固定価格買取制度に移行)により家庭における太陽光発電の普及が進められてきたが、2019年11月以降、10年間の買取期間が終了する世帯が生じる。これらの世帯は余剰電力の積極的な自家消費に移行する可能性もあり、対応次第で電力消費パターンは変わり得る。このような背景から、本調査では、買取期間終了を想定した需要家の自家消費に関する意向の把握を目的とする。
方法:
戸建住宅に太陽光発電を既設の1,500世帯に対しインターネットアンケートを実施する。余剰電力の買取価格は太陽光発電の設置年により異なるため、10区分の設置年別にサンプルの割付を行う。調査項目は、自家消費設備(蓄電池、ヒートポンプ給湯機、電気自動車)の導入意向、設備導入で重視したい条件、許容投資回収年数等である。なお、蓄電池または電気自動車の保有世帯、全量売電・ダブル発電の世帯はアンケートの対象外としている。
結果:
蓄電池、ヒートポンプ給湯機、電気自動車の導入意向は、いずれも「とても導入したいと思う」割合が1割前後に留まっている。これらの自家消費設備の導入では「初期費用」等の経済性に関わる内容が重視され、許容投資回収年数は10年以内の割合が最も大きく約3割である。自家消費設備に関し気になる点や希望するサービスとして、「諸費用の低減」が約4割と大きく、「詳しい情報が知りたい」等の情報提供を希望する割合も1割程度確認できる。
- 論題
- 太陽光発電の余剰電力買取期間終了後の需要家意向に関する調査
- 著者
- 岸田 真一, ユウローリン, 中上 英俊
- 掲載誌
- BECC JAPAN 2019, 2019年8月