(1) 目的:
新学習指導要領において、持続可能な社会の作り手の育成について前文で言及されたことは特筆すべきである。しかし現状は、学習指導要領や教科書に記述が散見されるものの、学習内容が体系化されていない。また、教科や学年間の連携を踏まえた系統性がみられず、気候変動教育に関する教材も不足している。そこで、気候変動教育が自主的、継続的に実施されるために、学校教育現場で活用できる指導者向けの教材を開発することとした。
(2) 方法:
2017年度より実施している環境省実証事業にて開発した省エネ教育プログラムの内容をもとに約1万人の実証結果や教員アンケートの結果を踏まえ、持続可能な社会の作り手の育成を目指す指導者向けの指導書として内容を刷新することとした。アクティブ・ラーニングの視点及びナッジ等の行動科学の先進的な知見、SDGsの視点を盛り込んだ。本教材は、環境省「低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ)等による家庭等の自発的対策推進事業」にて開発した省エネ教育プログラムを発展させたものである。
(3) 結果:
全6回、1回45分(または50分)で学ぶ内容を基本としプログラムを開発した。新しい学習指導要領に基づき、カリキュラム・マネジメントの視点からの各教科と対応表を完成させた。併せて、教育現場で導入の進むSDGs教育との関連性を図式化した。さらに教員の負担軽減やより伝わる教育教材を目指し、ICT推進に基づくデジタル化を進めるとともに、実証事業に参加した学校の授業の様子や児童・生徒の新聞作成事例、児童生徒、保護者の声等をまとめ、普及促進につなげる工夫を取り入れた。
- 論題
- 「省エネ教育」に関する指導者向け教育教材の開発[持続可能な社会を目指して、家庭・地域での実践につなげる「今日からはじめる省エネ教育」]
- 著者
- 矢田 麻衣, 三神 彩子, 赤石 記子, 平山 翔, 長尾 慶子
- 掲載誌
- BECC JAPAN2021, 2021年8月