世界各国で実績のあるナッジを活用したソリューション「Oracle Utilities Opower」を、日本の生活・文化に合わせて再構成。2017年より全国のエネルギー事業者5社の供給エリア約30万世帯に向け、家庭ごとにパーソナライズされた省エネレポートを提供し、平均2%の省エネ効果を確認。
日本オラクル株式会社(本社:東京都港区、執行役 社長:三澤 智光)と株式会社住環境計画研究所(所在地:東京都千代田区、代表取締役会長:中上 英俊)は、日本の二酸化炭素(CO2)削減目標を達成するための環境省の取り組み「低炭素型の行動変容を促す情報発信(ナッジ*1)等による家庭等の自発的対策推進事業」の委託を受け、2017年度から2020年度まで実証事業を行いました。
北海道ガス株式会社、東北電力株式会社*2、北陸電力株式会社、関西電力株式会社、沖縄電力株式会社の5社の供給エリア約30万世帯を対象に、オラクル・コーポレーションの家庭顧客向けエネルギー効率化ソリューション「Oracle Utilities Opower Energy Efficiency Cloud Service(以下、Oracle Utilities Opower)」に、日本のキャラクター文化(本実証キャラクター:そらたん)等も活用し、ナッジを駆使した、家庭ごとにパーソナライズされたエネルギー使用情報やアドバイスからなる省エネレポートを提供しました。全国から5社のエネルギー事業者が協力し、ナッジの活用を4年間にわたり30万世帯もの世帯に、大規模に実証を行ったことは、日本初となります。
このプログラムにより平均2%の省エネ効果が確認され、4年間の累積CO2削減量は47,000トンとなりました。レポートの提供終了後も省エネ効果の持続が確認されており、今後の累積CO2削減量は111,000トン*3にまで及ぶことが推計されています。これは、41,000世帯の年間CO2排出量*4に相当、または約135,000台の冷蔵庫買替効果*5に相当します。このような実績とともに、家庭での脱炭素の取り組みのヒントとなる結果が得られました。
*1: ナッジ(nudge) は、「そっと後押しする」ことを意味する英単語。行動経済学等の理論を活用し、社会・環境・自身にとってより良い行動を促すことを指す。2017年ノーベル経済学賞を受賞した米シカゴ大学リチャード・セイラー教授らが公共政策への活用を提唱したことで注目を集める。
*2: 初年度のみ参加
*3 削減効果の減衰率を13%、引っ越し等による参加者減少率を6%として2017~2019年度のレポート送付効果が減衰しながらも継続するとして試算
*4 環境省「平成31年度家庭部門のCO2排出実態統計調査 調査の結果(確報値)」より全国平均の世帯当たりCO2排出量を2.72 [t-CO2/世帯・年]として試算
*5 環境省「平成28年度家庭部門における二酸化炭素排出構造詳細把握委託業務報告書」より冷蔵庫をトップランナー機種に代替した場合の1台あたりの省CO2効果を0.137[t-CO2/台・年]、法定耐用年数の6年間稼働するものとして、0.822[t-CO2/台]と想定して試算
主な実証結果:家庭部門の省CO2成果とエネルギー事業者の顧客エンゲージメント強化を両立
- 「Oracle Opower HER」を提供しない家庭と比較し、プロジェクト全体を通じて、最大2.8%のCO2削減効果を達成し、4年間で47,000トン、持続効果を含めると111,000トンのCO2排出量を削減
- 「Oracle Opower HER」を受け取った顧客世帯の認知は約80%、閲覧は約70%、興味は約40%、具体的行動は約30%と高い反応率を確認
- 「Oracle Opower HER」を受け取った顧客世帯の約30%が、エネルギー事業者のイメージ変化について、「よくなった」と回答し、エネルギー事業者の顧客エンゲージメントの強化にも貢献
詳細は環境省ナッジ事業ホームエネルギーレポート実証成果リリースをご参照ください。
【本件に関するお問い合わせ先】
担当:鶴崎、平山、小林