地球温暖化対策計画1)ではLED等の高効率照明の普及率を2030年に100%にする目標を掲げている。しかしながら、照明のエネルギー消費量の実態を調査した研究は少なく、その多くがアンケート調査によるものである。これは照明単体の電力消費量を計測することが困難であることに起因しているが、アンケート調査と実際の点灯時間には乖離が生じる可能性があり、アンケート調査のみでの照明のエネルギー消費量の把握では実態を正しく反映していない可能性がある。
最近ではHEMSの普及により分電盤回路別の電力消費量を取得できる住宅が増えてきており、照明回路が独立していれば照明消費量の計測が可能となるが、照明単体回路を把握できる分電盤は広く普及しているとは言い難い。
そこで本論文では、照明の点灯時間を計測し点灯状況の実態を把握することに加え、アンケートによる照明点灯時間の調査を行い、計測とアンケート調査による照明器具の点灯時間を比較することで、照明点灯時間の補正係数を算出することを目的とする。
本報では照明器具の温度から点灯状況を判定し、照明の点灯時間等を把握した。また計測とアンケート調査の点灯時間を比較することで、メイン利用の居室照明以外では、アンケート調査の点灯時間が過大に回答される可能性があることを示した。
1)地球温暖化対策計画,平成28年5月13日閣議決定
- 論題
- 家庭部門における照明用CO2排出量に関する研究 その1 照明点灯時間の実測結果とアンケート調査結果の比較
- 著者
- 水谷傑,岸田真一,高山あずさ,矢田麻衣,岡本洋明,鶴崎敬大
- 掲載誌
- 日本建築学会大会学術講演梗概集(広島),P945-946,2017年9月