家庭での省エネルギー行動を普及させる取り組みは多いが、長期に渡る質的な変化について追跡した研究は希少である。本研究では一年間にわたる省エネプロジェクト参加者の質的側面の時系列的変化を探索的に明らかにすることを目的とし、プロジェクトを通じて省エネに取り組んでいる家庭に対し行ったグループインタビュー中の発言内容をテキストマイニングによって分析した。結果から、プロジェクト開始半年後の時点では、事前の診断や調査において提示された行動項目の範囲で、金銭的なこと、暖房に関すること、取り組みの効果の実感しやすさ等の内容について発言するにとどまっていたが、一年経過後のインタビューでは、家族全体の生活様式の変化や、うちエコ診断にない新たな項目への挑戦などに関する発言が増えており、省エネ行動の実践の程度がより深まっていることが確認された。
- 論題
- テキストマイニングを用いた省エネルギーへの態度・行動の質的変化:旭川「Ene-Ecoプロジェクト」の事例研究
- 著者
- 小林翼・大沼進・森康浩
- 掲載誌
- 環境情報科学学術研究論文集, Vol28, 37-42.(査読付き論文)