本報では第2報で作成した指標を基に、地理情報シス テム(GIS)を用いてSOFC 導入に適した世帯を抽出し、潜在的な導入可能性を検討した。さらに、将来的に都市部の戸建住宅にSOFC導入が拡大した際の電力削減効果について明らかにするため、2030年時の普及率として現状維持シナリオ、エネルギー基本計画を基にした政府目標シナリオ、アンケ ート調査結果による最大普及シナリオの 3 つを想定した。これらのシナリオについて、1戸単位で建物用途が把握でき、さらに世帯主の意向で導入が可能である戸建住宅について、世田谷区を対象にケーススタ ディを行った。戸建住宅等へのSOFCの導入による電力消費量の削減効果は、現状維持シナリオ(普及率 5%)で削減率2%、政府目標 シナリオ(普及率 10%)で3.8%、最大普及シナリオ(普及率 35%)で13.9%となった。戸建住宅等に対する電力消費量の削減率に基づく 100m メッシュの 数では、現状維持シナリオと政府目標シナリオにおいて削減率10%未満が最も多く、最大普及シナリオでは削減率10%以上20%未満が最も多い結果となった。
- 論題
- 関東地方の住宅への分散型電源の導入に関する研究 第 3 報 GIS を用いた都市における SOFC の導入評価
- 著者
- 長岡篤,矢田麻衣,金島正治
- 掲載誌
- 日本建築学会大会学術講演梗概集, pp.757-758,(一社)日本建築学会 ( 2016年8月 )