民生家庭部門においても益々エネルギー消費の削減が求められる中、今後は供給側のみならず需要側における対策が重要である。デマンドサイドマネジメント、分散型エネルギーシステムの導入、高効率機器の使用、エネルギー使用量のフィードバックによる省エネルギー意識の向上といった需要側の取組を促進させるためには、エネルギー消費量の評価方法についてさらなる検討の余地があり、特に時間間隔の評価が重要である。本研究では、エネルギー自立型の住宅を目指す観点から、住宅のエネルギー消費の多くを占める電力について、実測値を用いて計測時間間隔による電力消費量の評価を行った。そして、1日の電力消費量の最大値発生時と低負荷時に着目し、時間間隔によるデマンド制御への活用評価と、時間間隔が家庭用燃料電池コージェネレーションシステム(FC-CGS)の発電効率に与える影響について明らかにすることを目的とした。本研究で得られた知見として、時間間隔により最大値発生時刻がシフトし、特に冬期は時間間隔が広くなるにつれ、最大値が朝晩で入れ替わる現象が確認された。また、時間間隔が分電盤の機器別制御の評価に与える影響では、1分と5分間隔ではピークの原因となる機器が特定でき、ピークシフトやピークカットといったデマンド制御に有効である結果となった。さらに、低負荷時に発電効率が落ちるFC-CGSでは、時間間隔が15分以上だと発電効率が過大評価される場合があり、FC-CGSの導入評価を行う際には5分間隔程度が望ましいことが明らかとなった。
- 論題
- 住宅電力消費量の計測時間間隔による評価と活用に関する研究
- 著者
- 矢田 麻衣, 長岡 篤, 金島 正治
- 掲載誌
- 日本建築学会環境系論文集, Vol. 81 (2016) No. 720, pp. 247-254