住宅用コージェネレーションシステム(CGS)は天候に左右されない安定した省エネルギー機器として導入に対する期待は大きい。住宅用CGSは主に戸建住宅を対象に導入が進められているが、都市及び近郊に多く立地する集合住宅における導入も検討すべき課題である。集合住宅内における複数世帯間での共有や、共用部への電力融通も含めたフロア内での共有といった、住宅用CGSの最適な導入方法を検討する上で、世帯の違いによるエネルギー需要のばらつきを考慮する必要がある。本報では世帯間の電力・給湯需要のばらつきが固体酸化物型燃料電池(SOFC)-CGSの導入効果に与える影響を明らかにすることを目的とした。アンケート調査と既往研究結果を基に、世帯構成・ライフスタイル・機器性能・朝シャワーの有無をパラメータとして50世帯の集合住宅モデルを作成し、SOFC-CGSを導入した場合のエネルギー削減率を算出した。50世帯の導入効果は削減率で23%から-24%と大きく異なり、32世帯において10%以上の削減率となった。20%以上の削減率が見られた世帯は多消費型ライフスタイル・標準または旧式機器・朝シャワーあり、または標準型ライフスタイル・旧式機器・朝シャワーありの世帯となった。削減率が0%未満の世帯は全て節約型ライフスタイルである。SOFC-CGS導入前一次エネルギー消費量が52GJ/年より小さい世帯では削減率が大きく低下し、SOFC-CGSの導入効果が得られない可能性が高いため、他の世帯と共有する等、導入方法に注意が必要である。
- 論題
- 電力・給湯需要のばらつきが固体酸化物形燃料電池コージェネレーション システムの導入に与える影響―集合住宅へのコージェネレーションシス テムの導 入方法に関する研究 その1
- 著者
- 湯浅和博,矢田麻衣,新野将平,朴省俊
- 掲載誌
- 日本建築学会環境系論文集, 第80巻,第712号, pp.543-550(一社)日本建築学会 ( 2015年6月 )